有機栽培と農薬
日本で有機栽培のコーヒーを売るためには有機JASの認証が必要となります。
生産国では農薬にかかる費用は生産コストの3〜4割とも言われ、高いので使用しないという農家は多数ありますが、認証をとる費用も高く、実質有機栽培という品は多数あります。
逆に、意識的に有機栽培をする事で商品価値を高めようとしても、近隣農家から風で流される農薬によって、不幸にも検査で引っかかるケースもありますので、なかなか進まないのが現状です。
コーヒーの説明文を読んでいると、“コーヒー豆は種子で直接農薬にかからないので安全”といった記事を見かけますが、これは間違いです。
農薬を散布し、雨で土に流れ、根が吸いますが、この時一番溶け込むのは脂質の多い種子、つまりコーヒー豆になります。
ただ安全なのは間違いなく、時間が経つと分解する物が多く、何といっても焙煎しますから残っていたとしても熱分解します。問題は輸入時です。
残留農薬で基準値を超える事は年に数回あります。これは日本の基準が世界の基準よりも厳しい事が原因の場合が多く、そうした品は上陸する事なく他国へ転売される事になります。
そもそも農薬散布の目的は、病害虫駆除ですが、やはり有機栽培の場合はこちらのリスクは高まります。
よく夏場に見られるのはメイガという2cmくらいの蛾です。
国内に入りまず検査をしますが、コンテナを開けメイガが見られるとルール上、薫蒸します。
この時成虫は死にますが、卵には効きませんので、夏場になると孵化してパタパタ飛びます。
ちなみにこれといった完全な対策も見当たらない為、またコーヒーは焙煎加工する物ですからクレームの対象外になっています。日本でも米からコクゾウムシが出てきますが、似たような感じです。
経費をかけJASの認証をせっかく取った品のコンテナを開けるとメイガがパタパタ…ここで薫蒸すると有機JASとしては販売できなくなる事から、それを知る検査員も見て見ぬふりをするとかしないとか。